ああああのブログ

相場とか哲学の殴り書き。

アメリカの興亡

これは過去記事のリライトです。

 

アメリカの今後を予想するために、アメリカはなぜ躍進したのかということを書いてみたい。

 

アメリカが世界第一の資本主義国であることは言うまでもない。

そもそも資本主義とは何だろう。

浅はかな人は、儲けることを資本主義だと言う。

儲ければ何でも良いという意味を込めて。

しかし、それは間違いであることはすぐに証明できる。

誠実な取引が行われれば、両者が得をする。

このような誠実な取引が多く行われるほど社会全体が富む。

逆に、不誠実な取引をして一方だけが儲かりもう一方が損をすればどうだろう。

そのような不誠実さが社会に蔓延したら、社会全体が富むことは無い。

資本主義とは、誠実な取引の積み重ねなのである。

アメリカは、上で書いたような誠実な取引の積み重ねによって社会全体が富んだ。

アメリカ人はなぜ誠実なのか。

その主要な原因は宗教である。

宗教、と聞くとうろんな目で見る人が多いだろう。

しかし、常識を疑って行こう。

多数者の総意というものはいつだって頼りないことは、特定の分野に詳しい人であれば気づくであろう真理である。

薄っぺらな知識を、多数者の総意であるからと慢心してかかるのが世論というものなのだ。

 

宗教ほど資本主義にとって良いものはない。

アメリカに根ざした宗教は、嘘は良くないことを人々に教えた。

嘘をつかずに契約を守り、お互いが納得できる取引が活発に行われたとすれば、社会全体が豊かになることは当たり前のことだろう。

 

しかしながら、アメリカはだんだんと無宗教が増えてきた。

それは、皮肉なことに豊かになったからである。

豊かになる前のアメリカ人は貧しいからこそ、死後のことを考えざるを得なかった。

貧しさとは死を連想させることでいっぱいなのだ。

なので、宗教との相性も良かった。

宗教は、死後の世界を示唆して生前の行いを正すよう促した。

人は、自分の死後までの長期的な目線を考えざるを得なかった。

そのことはかえって、資本主義の事業をやるには有利に働いたのである。

短期的な誘惑や詐欺的な利益などは一蹴し、これはと思った長期的な事業に向けて努力する。

宗教は資本主義に実に好都合に働いたのだ。

それで、豊かになるとどうなるか。

それは、死を考えなくとも済むということなのだ。

豊かな食物、暖かい服、快適な住居。

貧しい食物、ぼろの服、わびしい住まい。

どちらが死に近く、死に遠いか一目瞭然のことだろう。

死を意識せずに済むということは、宗教から遠ざかるということでもある。

死を意識するということは怖いことだ。

誰だって、生きていたい。生きているからこその喜びがあるのだから。

死ぬとどうなるというのは誰もが持つ恐怖である。

宗教は、死後の世界があるということを示唆する。

それが本当かウソかはここでは述べまい。

が、死後の世界はあると考えたほうが資本主義にとっては有利であるということは前に述べた通りである。

豊かな生活は、死後の世界を想像しにくくなる。

ということは、今さえよければ良いというような有害な考えをはぐくむことになりはしないだろうか。

有り余る富を持っていたら、どうして酒池肉林の生活をせずにいられるだろうか?

死後の世界だとか、宗教の教えだとか、そんなことを考えるより目の前の快楽に溺れずにいられる人がどれだけいるだろうか。

酒池肉林は大げさでも、スマホをポチポチするなどして無為な時間を過ごしてしまった経験は誰しもあることではないだろうか。

目の前の一時的な快楽のために嘘をつく人間が増える傾向になりはしないだろうか。

そういうわけで、アメリカの資本主義は宗教によって躍進したが、無宗教によって衰退することを私は予想する。

 

もう一つ、アメリカは世界一の民主主義国である。

それはどうしてか。

アメリカはもともと地方分権であった。

学校や道路をどのように作るかとか、州の法律はどうするかなど、住民自身で委員会を作ったりして決めていたそうだ。

これは住民にとって大変な負担に違いない。

いろいろな利害が交錯して面倒だし、人の意見をまとめるのは相当な時間がかかる。

だが、大変なメリットもある。

住民は政治的な経験を積むということである。

政治的な経験を積んだ人々による民主国、そうでない民主国、どちらが発展するかは小学生でもわかる理屈ではなかろうか。

だが、今のアメリカは地方分権が衰退してきているとのことだ。

大企業の登場によって異動が多くなったことで土地に縛られない人が増えたなどの理由を上げる人もいるが、

そもそも豊かになれば必然的に面倒なことはしたくなくなるというのが主要な原因ではなかろうか。

Aという人物の利害とBという人物の利害が相反しているとき、双方を納得させるというのは至難の業となる。

そういう面倒ごとから離れて、自分の給料で楽しむ時間を増やしましょうとなるのが自然なことではあるまいか。

 

お金がなかった時代なら、やむなく自治をやった。

どうして豊かになっても面倒ごとをしたいと思うだろうか?

そういうわけで、アメリカの民主主義は地方分権によって発達し、地方分権離れによって衰退することを私は予想する。

 

最後のまとめ

アメリカという世界一の国がこれからどうなるか?

資本主義は衰退し、民主主義も衰退する。盛大なダウントレンドはすでに始まっていると予想。特に米国債は危うい。民間企業なら新陳代謝が行われるが(それも最近の金融緩和で怪しいが)国は新陳代謝が鈍い。